| 桶垂流考〜満員御礼への施策 |
「恋というのはひとつの芝居なんだから筋を考えなきゃダメだよ」 (Junichiro Tanizaki/Japan/1886-1965) 仮に、現在の収入源が全て絶たれ今あなたが参加しているオーケストラ活動が唯一の収入源にしかならない、となったらあなたは何をまず変えていくだろうか? 何を売るのか・・・商品政策 いくらで売るのか・・・価格政策 誰にどこで買ってもらうのか・・・ターゲット政策 どうやって売るのか・・・流通・販売促進政策 少なくともこれくらいは分析しなくてはならない。 いわゆる4Pってやつね。4人プレイではない。 Products/Price/Place/Promotionね。 そうやって、己が所属するオーケストラの収入、ひいては自らの収入が最大化するように上記政策を上手く組み合わせていく、これがマーケティングであろう。 んなこといっても今のプロ桶ですら経営が決して上手くいっているわけではないわけで、このテーマは難題を極める。 所謂アーツマネジメントと呼ばれるやつで、最近欧米だけでなく日本でも一部の大学なんかで取り入れられる様になったりしている。つっても「それが何か?」って感じかな。 ざっくり記すと、まず桶そのものが営利団体か、非営利団体か?で大きくその位置づけが異なる。 営利団体ならば、その活動の源泉は演奏会からのチケット収入って事になる。 非営利団体ならば、いわゆる寄付金が活動の源泉かな。 乱暴に定義するとね。だからこそ営利団体は潤沢な資金を確保するべくチケット収入を如何に最大化することを考え、非営利団体は(非営利だけにガボガボ儲けるわけにはいかんが)寄附金を如何に集めるかにかかっている。 ここで欧米と日本の違いは、活動の源泉がそもそも違うって事。 欧米の桶はコミュニティ、街などの自治体、企業、名士達からの寄付金に支えられる。もちろんチケット収入が無いって訳じゃないが。日本は放送局や自治体のバックを持つ一部の桶を除きその殆どがチケット収入と云われている。 演奏会のチケット代はそうそう大差が無い故に、桶のコストの大半が指揮者、ソリスト、そして構成団員へのギャラで占められることは自明。 この制約条件を与件として、さてさてどうやって収益を最大化するか。 そりゃあもういくつかにパターンは決まってしまいます。 @馬車馬の如く演奏会をこなし売上高を最大化する ACDやTV出演など露出狂の如くマーケティングし売上高を最大化する B構成団員をプロパーから派遣に変更し人件費をケチってコストを最小化する Cタニマチからの寄付金を募り収益を最大化する Dあとは何がある・・・? アーツマネジメントの難しいところは商品が無形であるというところで、そもそも音楽が商品である、なーんて事自体に嫌気を差す人だっているくらい気難しいモノなのである。それが故にAなどの商業的、興行的な活動は余りどぎつくやるわけには行かず、@やBなどではそのクォリティの維持に限界があり、Cが一番まともな選択肢となり得るわけである。 結局、結論として欧米スタイルが無理のない運営をしていくにあたって最も適しているものと思われ、それがゆえにアーツマネジメントの結論とは地域社会のサポートを得ることと同義であると俺は思っている。 世界は違うが、日本の国技「相撲」はこれに近い運営方法だとおもう。 相撲をスポーツと見るか、文化・芸術活動と見るかは人それぞれだが、日本相撲協会の運営から、各部屋への運営資金、基本賃金などは相撲協会への各企業からの寄附金が母体となっている。 大体こんな感じ。今回はオチ無し。 あえて冒頭でへんてこりんな提議をしたのも、要は我らがアマ桶にもプロ桶が抱える問題とその解決手法を使えるんじゃないかちゅーことを思ったからである。 毎回の定期演奏会の度に選曲を行い、練習を重ね、周りの家族・友達ばっかりが集まる演奏会を終え、「良く弾けました、おつかれ〜」で打ち上げて終わり、だけで終わるにはもったいないくらいの努力と時間とお金を我々は既に投資しているのである。 せめて満員御礼のホールでバッチリ演奏して、自己満足だけでない何かを成し遂げられたらなぁ、と思うわけ。その為にはルーティンに陥らずあの手この手の策を練っていかねばならん。さてさて。 「"You got it?" "Yeah, I got it."(訳:「狙いは?」「完璧です」)」 (From "The Untouchables"/USA/ 1987) さてココで。たとえば東京の桶にいると仮定して。 東京のアマオケ数 : 約300団体 神奈川のアマオケ数 : 約70団体 千葉のアマオケ数 : 約40団体 埼玉のアマオケ数 : 約30団体 −−−−−−−−−−−−−−−− 首都圏のアマオケ数 : 約440団体 (FREUDE登録団体で調べてみた) 多少の重複はあるにしても社会人や企業オケ、アンサンブル団体等でこの数。 上記都県合計で34百万人の人口に対する桶数ちゅう単純対比で77千人。 これは他の道府県では少なくとも100千人は超えるわけで、学生桶も加えるとさらにこの格差は広がる。 なーんて事から、狙い目は地方? そう。別に超ド田舎に行くこたぁ無いけれども、これだけ競争が激しいところで活動しているっちゅう認識はあった方が良いのかも知れない。それが故に、今回のテーマである満員御礼を目指すにはハコの選定がけっこう重要だったりする。 なぜなら「何を売るのか」「いくらで売るのか」という基本的な条件はドコの桶も殆ど一緒で、「誰に何処で買ってもらうのか」「どうやって売るのか」が分かれ目と思うからである。 当然基本的なこと、桶が良い演奏をする、は前提条件としてココでは考える。 と言うよりもルーティンから抜け出そうとしている(他と違うことをしようと考える)時点で、練習へのモチベーションが高まり質の高い演奏をすることは副産物として当然期待できるからだ。 それゆえにハコは出来るだけ小さくて、地元に桶がなかなかない場所で、というところが望ましい。 そしてそれをどうやって売るのか。 ここらへんから上記非営利団体だの何だの、という話と繋がってくる。 要はそれぞれの街のホーム桶として活動すりゃ良いのかなって。 そこにはお付き合いを超えた聴衆が集まる、まさに真の演奏会。 いい意味での真剣勝負こそ、オケがひとつステップを上げるための必須要素だと思う。 そして、それが満員御礼のホールであったなら、これほど強力なものはない。 オケはお客さんが育てるものなんである。詰まるところ。 結局まったく今回オチ無し。 以上。 |